【保存版】修験道を学ぶための入門本おすすすめ17選


モノも情報もあふれかえっているけれど、先行きの見えない現代社会。
今、生きる力を呼び覚ます知恵として修験道が見直されつつあります。

修験道というと、山伏姿で滝に打たれたり祈祷したりといった怪しげな昔の宗教、というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、本来の修験道は1300年の歴史を持つ日本特有の山の宗教。自然を敬い、山で修行をすることによって心身を鍛え、悟りをひらくことを目的とするもの。

悟りをひらくとは、自分と世界とのつながりを再確認し、命を実感すること、と言い換えることもできるでしょう。その高い精神性と実践性に惹かれ、各地で修験道の修行体験へ参加する人が増えています。

デジタルな環境に囲まれた現代だからこそ自然の中に身を置き、あなたの中に眠る生命力を目覚めさせてみませんか?
今回は、古くて新しい修験道を学べる本おすすめ17選をご紹介します。

目次

1.現代山岳信仰曼荼羅(藤田庄市)

日本山岳修験学会評議員でもあるフォトジャーナリスト藤田庄市氏が、フルカラーで現代の修験道の山岳修行の様子を紹介するルポルタージュ。
霊峰富士の山頂から撮影された幻想的な見開きページに始まり、山伏姿の修行者たちが岩場の鎖をつかみながら草鞋で駆け上がっていく様子は、ページを繰りながら思わず息を呑むほど。
30年という長い年月に渡り取材を続けるうちに『修験道が日本宗教の底流であることに気づいた』(本文より)という著者が同行して撮影した数々の写真には、修行の現場に居合わせるような迫力があり、著者だからこそ書ける文章とあいまって、修験道のありのままの姿を垣間見ることができます。

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2.はじめての修験道(田中利典・正木晃)

現役の山伏と、宗教学者による修験道の入門書です。
修験道は自然を崇める日本古来の宗教であり、神仏を分け隔てなく礼拝する神仏習合の信仰でした。

しかし明治維新後、『神仏分離令』『修験道禁止令』という政策によって現代ではなじみの薄いものとなってしまいました。けれど修験道の根幹にある『すべてのものに魂が宿る』という感覚は、今も多くの日本人が持ち続けていると著者二人は語らいます。
開祖、役行者に始まる修験道の歴史と、現代でも行われている修行の内容を、初心者でも体験できる全国の道場の情報をまじえて紹介しています。

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3.山伏ノート ~自然と人をつなぐ知恵を武器に~ (生きる技術! 叢書) {坂本大三郎}

イラストレーターから山伏となった著者が、修験道を様々な角度から語る一冊。

修験道の世界観によって、欲を満たすための生き方ではなく、自分と世界とのつながりを意識するようになったと語る著者。
山伏として生活しながら、自分のことを『信仰心が厚い人間ではないのかもしれません』と話す著者の言葉は、私たちの感覚に近く、修験道が目指すものが何なのかがすんなりと心に入ってきます。

山伏という言葉のなりたちから、山でのサバイバル技術まで。修験道がどんなものかを知ることができると同時に、山伏として暮らすことの魅力が伝わってきます。

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4.修験道 その歴史と修行(宮家準)

現代の修験道研究の先駆者のひとりである著者が手掛けた、修験道研究の集大成ともいえる一冊。
『修験道とは、山岳を神霊・祖霊などのすまう霊地として崇めた我が国古来の山岳信仰が、シャーマニズム、道教、密教などの影響のもとに平安時代末ごろに一つの宗教形態を形成したものである』(『序』より)
修験道信仰においての核ともいえる修行について、世界の宗教における修行との比較に始まり、現代の修験集団がおこなう修行の内容、大峰山・吉野・熊野から葛城山という役行者が拓いた修行霊場の峰入りまで幅広く、深く論じます。ここまででご紹介した修験道の本では飽き足りない方にお勧めします。

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5.山伏・修験道の本尊 蔵王権現入門―蔵王権現のご利益、拝み方、吉野と修験の歴史がわかる!(金剛峯寺:編)

役行者が開いた修験道の本山である金峰山寺。本書は、金峯山寺修験本宗第三世官長が本尊である蔵王権現と修験道について一問一答形式で解説します。
蔵王権現は、役行者が大峯の山上ヶ岳で修行した際、その祈りに呼応して姿を現した仏であり、逆立った髪、青黒い顔、憤怒の形相をした恐ろしい姿をしています。
なぜそのような姿をしているのか、その本来の姿は一体何なのか。
なじみのない仏教用語についても丁寧に説明されており、読み進めるうちに金峯山寺の歴史と、修験道の本質が理解できる仕組みになっています。

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6.野生の力を取り戻せ 羽黒山伏に学ぶ答えがない「問い」に向き合う智慧(星野文紘・渡辺清乃)

約1400年前、崇峻天皇の皇子である蜂子皇子(はちこおうじ)が開山したという出羽三山羽黒山。
その宿坊『大聖坊』十三代目の山伏と、3日間の山伏修行で修験道の魅力にとりつかれ、1年後には女山伏となったキャリアコンサルタントとの対談です。
『山伏修行ってね、擬死回生の儀式なんだ。お山に入って一度死んで、出てきたら生まれ変わる。だから、修行の終わりは『火渡り』がある。産声をあげながら火を飛び越える。火は、生まれた時に浴びる産湯の熱さなんだ』(本書『その3 山伏修行は、一度死んで生まれ変わる場』より)
著者二人によって率直な言葉で語られる、現代に生きるということ。そして、修験道の本質とは。
この本は、激動の現代社会を生きる指針を得たいと願っている方への大きなヒントになることでしょう。

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7.図説 地図とあらすじでわかる!山の神々と修験道(鎌田東二:監修)

『修験道とは、この身をもって天地自然の中に分け入り、そのエネルギーに浸され、賦活されて、天然自然の力と叡智を感受・理解しそれを有情無情の存在世界に講和的につなぎ、循環させていく知恵とワザの体系と修道である』(『序章 修験道とは何か』より)。
宗教哲学・民族学の研究者である著者が、富士山のような有名どころから高尾山まで、修験道の各地の霊山とその修行の内容を、図表や写真をまじえてわかりやすく解説します。
また、神楽、権現舞、田遊びや験比べまで、修験者が各地に広めた民俗芸能も紹介。
読みやすく簡潔ながら、修験道のエッセンスがつまっています。

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8.体を使って心をおさめる修験道入門(田中利典)

金峯山寺修験本宗宗務総長である著者が、修験道の歴史、そして山修行の具体的な紹介、そして現代において修験道が担うことができる役割について綴ります。
『…私たちは明治以前の太古の昔から、身近にある神、仏を分け隔てなくそばに置いて好んできた、祈ってきたのです。日本人は神や仏のみならず、有機物・無機物を問わず万物に霊性を見出す「アミニズム」を持ち続ける民族です。そう、あらゆるものに聖なる生命が宿ることを感じてきたのです』(『第十章 脱グローバル社会と修験道ルネッサンス』より)
修験道の根幹に触れながらも堅苦しくなく、まさに入門書としてふさわしい一冊です。

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9.住職がつづるとっておき金峯山寺物語(五條順教)

『修験道というのは、古くから日本に伝わる山岳信仰に神道や仏教、道教、陰陽道などが混淆して成立した日本固有の民族宗教です』(『第一章 役行者と吉野』より)。
明治政府の政策により仏教の一派となった修験道の寺、金峯山寺は、戦後天台宗から独立し金峯山修験本宗と改称します。その激動の時代を目の当たりにし、千三百年もの歴史を持つ入峯奥駈道という修行道の復活に尽力したのが、著者である金峯山寺住職、五條順教師です。
民衆の宗教である修験道はその歴史を通して権力と対立することが多く、時の幕府や政府によってさまざまな形で制限をかけられてきました。
本書で語られる修験道の歴史は、宗教史にとどまらず日本の歴史そのものと言っても過言ではありません。

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10.修験道という生き方(宮城泰年・田中利典・内山節)

聖護院門跡門主と、金峯山寺長﨟、哲学者という3人の対談形式で展開される修験道論。
『…日本では仏教という外来の宗教が浸透してきても、それまでの社会にあった土着的な信仰が保持されたのである。仏教には自然信仰などないはずなのだが、日本では仏教導入後も、民衆の自然信仰は継承されている。そればかりか自然信仰や土着信仰と融合するかたちで、仏教も日本の仏教として再創造されていく』(『まえがき』より)
そうした民衆の精神文化こそが修験道を生み出し、だからこそ、権力側から虐げられながらも脈々と修験道が受け継がれてきたのだ、と著者のひとり内山節は語ります。
修験道を、日本に生きる人々の精神文化史という側面で理解するための重要な一冊です。

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11. 大峯千日回峰行(塩沼亮潤・板橋興宗)

31歳で大峯千日回峰行という命がけの荒行に挑み達成した、慈眼寺住職の塩沼亮潤師と曹洞宗の御誕生寺住職、板橋興宗師との対談集です。
塩沼亮潤師は、病気の母と暴力を振るう父という家庭で育ち、自らも体が弱かったといいます。家計を助けるためにパチンコ屋で玉を拾い、景品で醤油や味噌を得るという生活を送る中、小学5年の時にテレビで見た比叡の千日回峰行に魅せられ、長じて金峯山寺での千日回峰行を目指し、出家します。
1300年という長い歴史の中でたった2人しか成功していないという超人的な偉業を達成しながらも、塩沼亮潤師の言葉はフラットで飾り気がなく、本書ではその生い立ちから仏門に入るまで、そして大峯千日回峰行の様子を詳細に知ることができます。

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12. 修験のこころ(五條順教・塩沼亮潤)

著者は、仙台市慈眼寺住職、塩沼亮潤師と、その師である金峯山寺官長、五條順教師。
塩沼亮潤師は、『大峯千日回峰行』という命がけの荒行を達成しています。それは1000日に渡り険しい修行道を歩き、その後は9日間をかけて不眠不休の絶食状態で真言を唱え続けるという壮絶なもの。
本書では、師匠と弟子であり修験道の行者同士でもある二人が、塩沼亮潤師の修行僧時代から、命をかけて臨んだ大峯千日回峰行までを語らいます。そこにはまぎれもなく修験道が目指すものが描き出されています。
『もし、私が修験のこころとは何かをたずねられましたら、「感謝」と「反省」と「思いやり」とお答えすると思います』(『はじめに』より)
最後まで読み終えてからこの言葉を読み返せば、その言葉がいかに重いものであるかを理解できることでしょう。

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13.役行者と修験道 宗教はどこに始まったのか (久保田展弘)

修験道の開祖である役行者と、修験道が成立した歴史的背景を、日本だけでなく世界の宗教に精通する宗教学者の著者が紐解きます。
『修験道は、世界がいのちの連鎖によって成り立ち、その意味で、けっして人間だけが特別であるわけでも、他の生命を支配し、その生殺与奪の権利を握っているわけでもないことを、その祈りの実践のなかに示してきた宗教であるといえる』(『あとがき』より)
古代インドのヴェーダから中国の易経まで遡った宗教学者ならではの分析に加え、実際に厳しい山岳修行に参加した経験を踏まえての言葉は、現代の日本において、修験道が何をもたらしてくれるのかを雄弁に物語ります。

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14.山岳修験への招待(宮家準:編 日本山岳修験学会:協力)

日本の修験道研究の先駆者のひとり宮家準氏と、聖護院門跡の宮城泰年師、慶應義塾大学教授の鈴木正崇氏ら、総勢20人の探究者と研究者による、修験道への招待状とも呼べる一冊。
本書では、日本各地の霊山霊場で行われる山岳修行の数々を紹介しています。比叡山・高野山を始め、日本七霊山のひとつに数えられる石鎚山まで、その歴史と修行の内容から、修行を成就した本人の筆による体験記も掲載。
『人々の絆を奪い、自己を見失わせ、先行きへの不安を増幅させる、そうした閉塞感や不透明感を脱して、自己と向き合い、改めて気持ちを再起動したいとする現代人の思いに、体験修業は一つの場を提供してくれる』(『第四章 体験旅行へのいざない』より)
この本を開くとき、あなたの探していたものが見つかるかもしれません。

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15.役行者と修験道の歴史(宮家準)

修験道の開祖、役行者。
彼は、さまざまな伝承をもつものの生没年も不詳。直接遺した文献も存在しない謎に包まれた存在です。
日本最初の仏教寺院、元興寺(現在の飛鳥寺)で仏教を学び、『日本霊異記』にあるように、怪しげな呪術を使い人心を惑わすとして伊豆に島流しにされたかと思えば、日本各地を修行して回り、神仏唱和を説き、彼の開いた修行道場が数多くの神社仏閣のルーツになるなど、日本の宗教界全体に非常に大きな影響を与えた人物です。
本書では、そういった役行者の人物像は、修験道の信奉者たちによって開祖にふさわしい姿へと形作られていったものであるととらえ、役行者の伝承を宗教学的立場から解釈することで、修験道そのものの姿を浮き彫りにしていきます。

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16.出羽三山――山岳信仰の歴史を歩く(岩鼻通明)

山形県の羽黒山、月山、湯殿山は、出羽三山と呼ばれる修験道の聖地のひとつ。
開祖は、能除仙。彼は崇峻天皇の皇子、蜂子皇子であるとされ、蘇我馬子による父の暗殺後、この地にたどり着いて羽黒山を開いたといわれているのです。
そのため出羽三山は、役行者を開祖とする修験道とはルーツが異なるとして羽黒派古修験道を名乗り、この地方では現在でも、修験道は地域に根ざすものとして親しまれています。
広く一般市民からの山伏修行体験も受け入れている出羽三山。著者が実際に修行ルートを歩きながら、熊野三山との関わりも含め、羽黒派古修験道の歩みを解説します。

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17.修験道・実践宗教の世界(久保田展弘)

修験道の修験とは、修行得験、もしくは実修実験を指すといわれます。
『宗教を信仰ということから考えれば、あらゆる宗教行為は“実践”ということになる。修験道がとりわけ実践宗教の名で言われるのは、その礼拝の対象が特定の仏・菩薩にかぎらず、いわばこの自然、宇宙を構成するあらゆる存在に礼拝の対象をみる、その宗教意識によるのだろうと思う』(『あとがき』より)
本書では、大峯山、出羽三山、比叡山というルーツの異なる各地の修験道を、その宗教的背景から解き明かします。そこに立ち現れるものは、日本人が古くから養ってきた『すべてのものに命があり、人間は自然の一部である』という生命観に他なりません。

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